続続 こだわり保存の法則【考察編】
そういえば、こだわりの話で思い出したことがあります。
中等度以上の知的障害を持つ方の支援に携わるようになって間もないころの職員会議にて、「こだわりがひろがる。」という発言をした職員がいました。
この時、私が率直に思ったことは、
「なにを言ってるんだ?ひろがったら、もはやこだわりではないだろう。」
でした。
とまあそんなことにとらわれてしまい、その日の会議は集中できなかったんですが、皆様はいかがでしょうか?
後に「こだわりの、対象が、ひろがる。」という表現に出会い、この話は落ち着いた次第です。
さて、話を戻します。
支援で話題に上がってくるこだわりというのは、
だいたい、というかほぼすべて生活に支障が出てくるものです。
ゆえに、『なんとかやめさせたい・なくしたい』と多くのひとが思うことでしょう。事実、我々もそうです。
勝手ながら私の予想だと、こだわりに対するアプローチは二大派閥になっているのではないかと思っています。
こだわりを『なくそうとする一派』と『さしかえようとする一派』です。
そんなことを考え、き〇この山とたけ〇この里を交互に口に運びながらこのブログを書いています。ちなみに私は里派です。
ふむ。
『なくそうとする一派』の難しい点は、日々真っ向勝負になるところです。具体的には相撲みたいになります。もちろん視覚指示を併用しますが、そうであってもなお押し通そうとされます。
『さしかえようとする一派』の難しい点は、それはもうびっくりするくらい代わりが見つからないところです。「そういうことじゃないんだよね~。」みたいな感じですぐにやらなくなってしまいます。
ただ、どうやらこの2つの対応はやはりケース・バイ・ケースということになるようです。
なぜなら、差し替え不可能なものの場合は制止するしかないからです。
言い換えれば、差し替えようがない場合に問題になるといってもいいかもしれません。
『こだわり保存の法則』が確からしい場合、
制止していれば確かにやらなくなる、しかし代わりのものが増える。
こだわりの総量が決まっているからです。
であるならば、
『確認できている、比較的安全なこだわりで手を打つのが得策?』
最近はそんなことを考えています。
最後に今回の利用者様の話に戻し、こだわり3部作の結びとします。
1部と2部はそれぞれこちらをどうぞ。
1部:https://wp.me/paV4lk-bd
こだわり保存の法則 ~あれが気になってしょうがない~
2部:https://wp.me/paV4lk-bE
続 こだわり保存の法則 【対応編】
〇やり直し系に関しては→で正解を示すことで行動が消失。
→この場合は、やり方がわからなかっただけなので、こだわりと言わないのかもしれません。
〇向きを直す系は✖で禁止を伝えつつ制止した。
→消失したものもあるし、現在でも確認できるものもあります。その頻度は減っていますが、上記のように問題として取り上げられやすいものです。
〇消失したと思ったものに強固にこだわる場面があった。
→強固さも日によって違う印象を受けます。どうやらストレスがあるとこだわりも強固になるようです。ストレス(もしくは不安)と思われる場面を取り除いたらやがて穏やかになった。ような気がします。
あるいは、気がかりがあると絵カード等への集中力が低下してしまうのかもしれません。気がかりがあると仕事が手につかない等のことを考えてみれば、この点は私たちもそうでしょう。
〇散歩中のこだわりが穏やかになった分、施設内で気にする場所が増えた。
→黙認していたらいくつかの行動が固定されるのは当然のことです。最近考えているというのはまさにこの部分です。
具体的には室内のこれらのものです。
椅子と棚が枠から出てる。 机の上に物が置いてある。
利用者様が出入口に向かう際にこれらのものが目に入ると、
位置を直したり、物をもとの場所にもどしたりします。
その分外でのこだわりが減っている・・・・と信じたいところですね。
というわけで、こだわり問題の1部分切り取っただけでも支援は本当に難しいです。日々試行錯誤しながら最善の方法を考えていきたいと思います。
さて、
おかげさまで笑プラスも8月で登録者17名となります。
引き続き、見学や体験の受け入れを実施しております。
来訪の際は、検温・消毒・マスク着用、時間短縮、人数制限等のご協力お願いいたします。
皆様も体調に気を付けて、夏を乗り切りましょう。
生活介護笑プラス
生活支援員 紙谷 一