自閉症を持つ方の特徴的な理解のしかた ~利用者Aさんの言い分は正しい~

生活介護笑プラス 生活支援員の紙谷です。

今回は、自閉症を持つ方の特徴的な理解の仕方をひとつご紹介。

『こちらが期待した理解の仕方と違っていた。』
そして、
『彼は間違っておらず、ある意味彼こそ正しかった。』

という話をします。

内容としてはトイレカードの運用についてです。
なんだかトイレネタばかりですね。

利用者様が使用するトイレのドアはこうなっています。

そして、使用中の時はこうなります。

念のため横並びにしておきましょう。

  →  
 トイレが空いている        トイレ使用中

仮に皆さんがこのトイレを使う場合、なにをどうしたらよいのかもうわかりましたよね?
他に説明することなどありません。

さて、今回ご紹介する利用者様ですが、彼はトイレの前を通る際、
トイレが使用中であっても、必ず空いている状態の位置にカードを戻します。

それだと中に入っている人が困るので(鍵をかければよいという話はひとまず無視してください。)
職員はカードを使用中の場所に戻すよう伝えるわけですが、まったく応じてくれません。
そして、このやりとりをしつこく繰り返したら、応じないどころか怒り出しました。

具体的に、彼は私、紙谷の腕をつかみ、「おまえ、ちょっと来いっ!!」と言わんばかりに
彼の机まで連れていかれました。


掴まれたのは腕ですが、イメージはまさにこんな感じでした。

では、何が起こっているのか?

このカードの使い方を彼にお伝えしたのは私、紙谷です。

どうお伝えしたかというと、
〇本人がトイレに入る前にカードを貼ってもらい。
〇中でトイレを済ませ。
〇トイレから出てきたらカードをもとの位置に戻す。
という流れを、指差しで教えながらお伝えしました。

そして、1回で覚えました。そんなに難しいことではなかったようです。

重要なのは、『彼がどのように理解していたのか』です。

たぶんこんな感じだったのでしょう。

(オレが)トイレに入る時にカードを貼り。
(オレが)中でトイレを済ませ。
(オレが)トイレから出てきたらカードをもとの位置に戻す。

つまり・・・

(オレが)トイレの中にいる時はカードがドアに貼ってある。
(オレが)トイレの外にいる時はカードはもとの位置ある。

したがって、

オレが廊下(トイレの外)にいる時はカードはもとの位置にあるのが正しい。
だってそう言ってたし。・・・紙谷が。

 

 

・・・・・たしかにっ!?

私、紙谷を含む、職員側が期待することは
中に人が入っている場合、ドアにカードを貼ってあるので、使用中であることが外から見てわかる。
ということです。使用中にはがされてしまったら意味がありません。

一方で彼の理解の仕方も間違いであるとはいえません。
彼自身が使用する場面でしか教えていませんので。

まあ、今回の場合今のところ大きな問題にはなりませんでしたが、やはり何か伝える時には注意が必要ですね。

このトイレカードルールは変更せずそのまま運用しているので、毎日同じような行動が見られます。
修正しようにも、この行動をしばらく見過ごしてしまったので、すでに動かしがたいものになっています。
制止する場合は3対1ぐらいの対応になってしまいます。

仮にきちんと伝え直す場合は、トイレカードの見た目を変えたうえで、
改めて教える場面を設定し、その際他の人が入っているパターンも伝えていく。
ということで理解のしかたが変わる可能性があるかと思います。

コロナ落ち着きませんね。

事業所では利用者様のお散歩中に、こまめに換気するように努めています。
戻ってくるまでには安全上の理由で閉めるわけですが、
もしあいたままでも大丈夫。利用者様がきちんと閉めてくれるから。

そう、利用者様がフロアにいる時は閉まっている場合が多いから。

多くの利用者様は閉めたがる。

そんな話でした。

 

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